
某古本屋に行くたびにずらっと並んでいる秋元文庫のことはずっと気になってた。いろいろ調べてみると元祖ライトノベルみたいなシリーズのようだ。手を出すとはまるかもしれないと思っていたので敬遠していたのだが、ためしに何冊か買ってみた。そのうちに一冊がこれ。
秋元文庫のファニーシリーズの一冊です。カバー・さし絵はみつはしちかこ。
昭和48年8月15日第1刷発行。もともとは、1966年に秋元書房ジュニアシリーズの1巻として刊行された作品みたいです。さらに、NHKの少年ドラマシリーズとしてドラマ化もされてるので秋元文庫の中ではそれなりにメジャーな作品かも。ドラマ版も見てみたいが、当然のように残ってない。
このサイトで写真がちょっとみれるくらい。
こうしてみると少年ドラマシリーズっていろいろなジャンルの作品やってるんですね。今まではなんとなく「タイム・トラベラー」とか「なぞの転校生」とかSF作品ばかりやってるイメージ持ってたんだけど。
ちなみに2002年にドラマ愛の詩枠で放送された「どっちがどっち!」とはまったくの別物です。
主人公は高木家の双子の姉妹・夏子と冬子。女子高生です。見た目がそっくりという設定なのでおそらく一卵性だろうが、性格は正反対。夏子はおしとやかな優等生タイプだが、冬子はお転婆タイプ。冬子は夏子のことを「ねえちゃま」と呼ぶ。このあまえたような呼び方がいい。私の脳内では夏子はキュアブロッサム、冬子はキュアマリンに変換されてます。
二人の性格が違うのは、母親の教育方針のせいで小さいときから別々の学校に通わされたため。でも、実際ここまで性格が別々になることってあるのだろうか?
双子が主役といえば、当然のように入れ替わりネタとかがあり、それによるドタバタが本作の見所。二人が双子であることは家族以外誰も知らない秘密である。学校の生徒たちはもちろん先生にまで秘密にしてるのだから驚きだ。家庭訪問とかどうしてたのかは不明。そういえば、ご近所さんとか作中には出てこないな。さすがに近所の人は知ってると思うのだが。
目次を見るといくつか章のタイトルが並んでいるが、
「ヤンチャでごめんね」というタイトルはなんか好き。
この話、エピローグに登場する夏子と冬子が本当の主人公でいままでの
話(高校入学から大阪への引越しまで)は2人をモデルにした小説だっ
たというような不思議な結末ですね。いずれにせよ2人が近々引っ越
してしまうというのは変りないようですが...。
あと、母親が双子を普通の姉妹としてそだてたのは、双子だという理由
で見せ物扱いされたりからかわれたりするのを防ぐためだというけど
戦前の田舎ならともかく、この本が書かれたのは1973年、舞台は
東京。当時すでに双子を珍しがるなんて習慣は全然なかったのにね。
親が秘密にしてるせいで友達を家に呼べなかったりとかすごく苦労し
てるのに。双子を産んだのが恥だと思ってるのか本心が理解できない
です。それから妹・冬子の方が先に産まれたそうだけど、双子は先に
産まれた方が年長だと明治時代には法律で決められてたんじゃないか
な。
[2014/04/25 02:02]
舞
[
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