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2010-05-04(Tue)

由利聖二著「異国の花束」を読んで

昭和29年8月少女文苑社発行の少女小説。
私の好きな少女小説作家に由利聖子(チビ君物語の作者)という人がいるのだが、名前が似てるので気になって読んでみた。
物語の半分くらいが回想シーンなのだが、その回想シーンの中にさらに回想シーンがあるという入れ子構造。ちょっと混乱する。

登場人物
一瀬久美子:私立K女子学園の中等部2年生。画家志望。「級長で、自治委員で、図画部委員で、おまけに庭球部の選手でもあった。(15ページ)」
李枝(りえ):久美子の妹。病弱。小学六年生。実は中国人の娘・李秋蓮(りしゅうれん)。おじの裕人を嫌っている。
麻子:久美子の母。
正人:久美子の父。農業に失敗し、満州で一旗あげようとするが死亡。
一瀬裕人(いちのせひろんど):久美子の父・正人の兄。世界の風来坊。有名な建築設計家。絵を描くのが趣味。
シベリヤお雪:熊本出身。満州で偶然、麻子と知り合う。李枝の乳母?匪賊(ひぞく)と戦って死亡。
李昌善(りしょうぜん):李枝の父親。
李景明:李昌善の弟。
話は現代(戦後まもなく)から始まる。幸せそうな久美子一家の暮らし。
その後、大好きなおじの裕人を訪ねたとき、裕人から長い長い話を聞かされる。

ここから裕人の回想。
時代は戦中、満州に暮らしてる久美子一家の元に裕人がひょっこり尋ねてきた。このときすでに母・麻子は李枝を引き取って育てているのだが、そのいきさつを裕人の話し始める。

ここから麻子の回想。

そこで、この夜、久美子の母の麻子が、(中略)伯父の裕人に語ったことを、話のすじみちをわかりよくするために、ここでまた作者がわかって(原文まま)、多少つけくわえたり、反対に、けずったりして、おつたえすることにしょう(原文まま)。(44ページ)



まず最初に正人と裕人兄弟の生い立ちから始まり、正人が麻子と結婚して、満州で李枝を引き取ってくらすまでが詳しく語られる。
満州ではシベリヤお雪とであったり、金鉱の地図を狙う匪賊との戦いがあったり、アクション映画みたいな展開が続く。匪賊との戦いでは、お雪や李枝の父が亡くなり、さらに正人も死亡する。
お雪や李枝の父の亡くなるシーンはかなり詳しく描写してるのに対し、正人の死亡する経緯は簡単な台詞ひとつで説明してるだけなのが妙だ。

「お雪さんや李昌善さんが、私や久美子をかばおうとして、命を棄てられたように、正人は、同志であり親友である李景明さんを助けようとして、自分が敵弾にたおれました。・・・・・・しかし、男らしい立派な最後でございました」



ここで麻子の回想は終わり、裕人の回想が続く。
裕人は満州にいる麻子を帰国させるために満州に来たのだが、李枝が病気のため身動きが取れない。結局、裕人と久美子だけで先に帰国し、その後、李枝の病気がよくなってから、李枝と麻子が帰国した。
ここで裕人の回想が終わり。

この伯父の話により、久美子は実の妹だと思っていた李枝が、ほんとうは中国人だと知るのだった。

この後、なぜか裕人を嫌う李枝が描写される。その嫌い方がすごい。
以下は李枝の作文だが、

伯父さま、きらい、きらい、きらい、きらい、大々々きらい、死んじゃえ。



死んじゃえとはすごい。
どうも李枝は、かつて満州で裕人に母と引き離されそうになったことがある記憶が漠然と残っていたのかもしれない。
その後、うっかり李枝は自分が中国人だと知ってショックを受ける。
だがしかし、最後の最後でどんでん返しが!
実は李枝はやっぱり日本人でした!
李枝の父親である李昌善とは実は日本人で、母親は有名なソプラノ歌手でハルピンで客死した大関小夜子だったのだ!
というわけで、すべては丸く収まって終わり。

一番印象に残った台詞。
画家志望の久美子は李枝をモデルにしようとするのだが、そのときの李枝の台詞

「ねえ、お姉さま、私、モデルになっても、はだかにならなくってもいいんでしょう?」
と、心配そうにたずねた。

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