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2010-03-21(Sun)

白川二郎作「華の兄妹」を読んで

某国立の図書館で読んだ。
昭和18年6月、分祥社発行の小説。一応、少女が主人公なので少女小説かな?特にはっきりと明記されてないけど。
これはわりと面白かった。戦中の作品なので、内容がおもいっきり軍国主義なのだけど・・・。

登場人物
弓子:本編の主人公。末っ子。兄が3人いる。女学生らしい。
毅一:大兄さん。軍艦の乗組士官。
征二:中兄さん。砲兵隊。
駿三:小兄さん。彫刻家。
大北君:駿三の友達。戦死する。
大北弘子:大北君の妹。17才の彫刻家。
これは二組の兄妹をめぐる話なんだけど、一応弓子が主人公らしい。しかし、前半はひたすら、弓子は駿三兄さんの行動に、心配したり喜んだりしてるだけで主体的な行動をまったくとらず、退屈な展開が続く。弓子の友達も一人も登場しないし。駿三が話の中心になってる。

そもそも、駿三はこの時代に戦争に行かずに彫刻家になってるため軍人の父親からは嫌われていたのだが、「弓勢(ゆんぜい)」という日本の精神を表した作品に取り組んでることで、父に理解され始める。しかし、ある事情でその作品を中止することになるのだが、その理由を言わないため、父は激怒して再び仲がこじれる。弓子は、それを見ておろおろするばかり。

話が面白くなってくるのは弓子が主体的に動き始める後半から。弓子は、駿三兄さんが毎日彫刻の仕事をしないでどこに通っているのかを尾行して突き止めることにする。その尾行の方法がずいぶん回りくどいのがおかしい。

一日目:毎回電車で通ってるのは知ってるらしいので、先回りして電車のホームで待ち伏せする。そのとき、わざわざ終点までの切符を買っておく。どうも乗り越し清算することを知らないらしい。本文にも「未だ、乗越しをもらふことを知らない弓子は」と書かれている。
途中で乗り換える駿三兄さん。そのまま、追って乗り換えればいいものを、乗り越しを知らないため、尾行はここでストップ。兄が乗り換えた電車の行き先を確認して、この日の仕事は終わり。
二日目:今回は乗り換え先の終点までの切符を買って待ち伏せ。しかし、最初の電車に乗った時点で兄に見つかる。とりあえず、買い物だとごまかす。乗換駅で、兄と一緒に乗り換える。
「弓子も此処で乗り換えよ、小兄さん。」
「ふうん。」
駿三兄さんはちょっと意外そうにするが、それ以上つっこまない。
その後、兄が電車を降りた駅名を確認して、この日の仕事は終わり。このときの弓子の感想。
「探偵って、難しい仕事だとおもっていたら、案外易しいんだわ」
次の日からは、しばらくいろいろ用事があって尾行できない日が数日続く。
そして、三日目:駿三兄さんが降りた駅に先回りして、駅前で待ち伏せ。兄が出てくるのを待って尾行を開始。こうしてようやっと兄の通ってる先が判明した。
プロの探偵なら一日できてることに、三日もかけるとは、まだまだ子供ですね。

結局、兄は何をしていたのかというと、親友の大北君の妹・弘子さんのために、彫刻の指導をしていたのでした。弘子さんは戦死した兄のため、戦死した瞬間の彫刻を作ろうと思っているのだが、まだ腕が未熟なため駿三さんにモデルになってもらったり、彫刻の指導してもらっていたというわけ。
秘密にしていたのは、作品が展覧会で入賞したときに弘子さんひとりの手柄にするため。
で、実際にこの作品は入選する。作品のタイトルは「華」。

クライマックスは、父親がその秘密を知ることになる場面。実は○○は○○だった的正体ばれのカタルシスがあってもりあがる。展覧会で展示してる作品を父親に見せ、弘子や弓子がすこしずつヒントを与えて、それが兄の指導によるものだと父親が自分で気づくように演出してるのがいいな。

これで、終われば素直なハッピーエンドなのだが、やはり戦中の作品。すでに駿三にも召集令状がやってきており戦地に向かうことになっているのだが、父親が駿三の秘密を知ったときのせりふが印象的。

「(前略)わしは、それを知っただけで、嬉しくてならないのだ。明日の日、駿三自身が、この「華」のような姿になったとしても、わしは、駿三の美術家精神が立派なものであったことを忘れはしない。(後略)」

最後は、駿三がみんなから「万歳、万歳」言われて見送られるシーンで終わる。

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