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2009-12-10(Thu)

矢崎みどり(浅原六朗)「愛の合唱」を読んで

「あなたは家庭で女王になり、学校で女王になり、こんどは社会で女王になりたいと思っていらっしゃるのでしょう。」(夕美子が瑛子に言ったせりふ)

昭和28年あおぞら出版社発行の少女小説。
この本にはいろいろ誤字脱字など問題箇所が多いのだが、一番困るのは表紙と奥付で著者名が違うこと。表紙は矢崎みどりとなっているが、奥付では浅原六朗となっている。どっちが正しいの?それとも同一人物なのか?ちなみに、ネットで検索すると、矢崎みどりに関してはほとんど何もわからないが、浅原六朗に関してはいろいろわかった。有名なてるてる坊主の作詞者で「少女の友」の編集長だったこともある人ですね。

登場人物
夕美子:槇家の家庭教師。一応の主人公?
槇瑛子:槇家の長女。先妻の娘。気が強い。声楽を勉強している。
槇たかよ:槇家の次女。現在の夫人の実の娘。気弱な性格で、ちょっと病弱。
デン:槇家の飼い犬。
おちか:近所の貧乏な家の夫人。
栗原八重子:声楽の才能がある少女。槇家の女中となる。
坂井女史:声楽の先生。

大まかなあらすじは、家庭教師の夕美子が問題児を抱える槇家に来て、その子を更正させるというもの。その問題児というのが槇瑛子だ。
瑛子の登場シーンはインパクトがある。それは、まだ夕美子が家庭教師になる前だが、別荘で颯爽と馬を駆っている瑛子を目撃するシーン。
さらにその後、デパートの食堂で瑛子を目撃するシーン。盲目の少年が不器用に食事をしてるのを見て、これ見よがしに笑ってる女学生たちが居たのだが、そこにいきなり現れた瑛子はいきなり笑ってる女学生に平手打ちをして一言

「恥ずかしいということを知らないの?」



夕美子が家庭教師として瑛子と出会う前にこれだけの見せ場で瑛子を印象付けるというのは、セオリーど通りといえばそれまでだが、うまいな。

この段階では、瑛子はツンツンしてはいるが熱い正義感の持ち主という感じを受けるが、その後、夕美子が家庭教師になってからの瑛子の描写はまるで別人。嫉妬心の強いいやな女として描かれており、ギャップを感じるな。
瑛子は、先妻の娘であり、その実の母を尊敬しているのだが、現在の母親に対しては教養のない人と思い見下した態度をとる。異母姉妹のたかよに対してもそっけない態度だ。当然家庭内の雰囲気は悪い。そこで、いよいよ家庭教師の夕美子が活躍するのかと思うが、これがまったく役立たず。まだ、学校を出たばかりで世間知らずの彼女は、何とかしたいといけないとは思うものの結局何もできないまま時は過ぎる。

中盤で新キャラ栗原八重子登場。貧乏人だが、瑛子と同じ先生の下で声楽を習っている。発表会で瑛子は自信満々で歌うのだが、彼女の歌は機械的でまったく観客に受けず、逆に情感豊かに歌った八重子が褒め称えられる。プライドを傷つけられた瑛子。ここから、瑛子の八重子いじめが始まる。

ちょうど住むところがなくなった八重子を家の女中として雇い、いたぶる瑛子。父親が不在がちの槇家は瑛子の天下で、母親も夕美子も何も言えないのだ。

その後、声楽のコンクールが開かれることになり瑛子と八重子が予選に出ることになる。
瑛子は以前の失敗をしないよう八重子がなるべく練習できないように作を練る。しかし、それにもかかわらずやはり八重子の実力にはかなわないと悟る瑛子。何とか、当日八重子が欠席すればいいのにと考えるのだった・・・。

ここで事件発生!瑛子の母の形見である腕輪がなくなった!そして、その腕輪が八重子の荷物から見つかってしまう。当然、八重子が疑われコンクールにも出れなくなってしまう。
ここに来てようやっと家庭教師の夕美子が動きます。このとき瑛子を説得するのに使われたのが冒頭のデパートの食堂でのシーン。このシーンはこの時のためにあったのだ。

「瑛子さん。あなたは、優しく、強く、不正なことは、だまつて見ていられない方なのです。」



などといって本来の正義感の強い瑛子に戻るよう論する。
結局、この夕美子の説得が功を奏して瑛子は改心し、正々堂々と八重子と共にコンクールに出場する。
意外だったのは、腕輪事件の真相である。これまでの展開を考えれば、瑛子自身が腕輪を八重子の荷物に隠して、八重子に罪を着せようとしたのだろうと考えるだろう。夕美子もうすうすそう感じていたのだが、真犯人は別にいた!それは女中のひとりだった!名前は一応あるけど、ほとんどその他大勢扱いのひとなので、真犯人を推理できた読者はいないだろう。もっとも、推理小説じゃないし何の伏線もないのだから、わかるわけがないのだが。ともかく、瑛子はそこまでひどいやつではなかったということだ。

ここで話は終わってもいいのだが、またワン・エピソード残ってる。
瑛子は改心したとはいえ、いきなり八重子と仲良くなれるほど器用じゃないし、八重子も自分だけが予選に通ったので瑛子に遠慮している。
ある吹雪の夜、瑛子を駅まで迎えにいったたかよが行方不明になる。それを瑛子と八重子が協力して捜索して、絆を深める。こうして、たかよ、瑛子、八重子の3人は本当の姉妹のように仲良くなるのでした。めでたし、めだたし。(完)

あれ、でもまだ相当ページ数があまってるな~。
とおもったらいきなり別の話が始まった。巻末に、中篇がおまけでついてることはよくあるが、これにはなぜかタイトルが付いていない。章題はついているので全部書き出すと・・・

一、妹奪わる
二、さすらいの旅
三、絶望
四、洞窟の声
五、牝牛について
六、怪龍と戦う

どう見ても少女小説じゃないだろ!どうやらギリシャ神話らしい。あらすじは、白い牛にさらわれた妹のユーローパを探して、3人の兄(カドマス、フィーニクス、シリックス)と母親、友達のテーサスが旅をするというもの。
最後は、中途半端な終わり方で、いろいろ疑問の残る話だった。

ここでようやっと表紙と奥付で著者名の違うわけがわかったような気がする。おそらく前半の少女小説が矢崎みどりの作品で後半のおまけが浅原六朗なのではないだろうか?
とにかく作りに適当さの目立つ本だった。表題作自体は良かったんだけど。

ちなみに、私の脳内では、瑛子はハルヒ、たかよはベス(愛の若草物語)、八重子は岩男潤子に変換されてる。

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