--------(--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2009-12-07(Mon)

上田エルザ「四ツ葉の誓ひ(四つ葉の誓ひ)」を読んで

「まあ、大変だわ、私捨てられたのか知ら。」

昭和25年東和社発行の少女小説。定価60円の廉価普及版です。ちなみに発行人は内山基。かつて「少女の友」の編集長だった人ですね。
発行は戦後だが、なんとなく戦前っぽい感じのする作品でした。気になって、上田エルザを検索しても、ろくな情報は出てこない。最近出た「少女の友」100周年記念号の巻末リストを見ると、昭和10年から11年に別の作品を連載していたことがわかった。この作品も同時期のものかもしれない。
とりあえず、盛りだくさんの内容で楽しめた。

登場人物
和子:自分の名前も知らない孤児。実は、北園家のお嬢様。
ジョン:和子と仲良しの犬。
田村尚忠(なおただ):和子を引き取ってくれた親切な老人。
菱川清美(ひしかわきよみ):大実業家の娘。和子と仲良し。
秋山敏子:裁判官の娘。和子と仲良し。
佐野春江:和子の級友の不良少女。兄も不良グループの一員。
多美子と藤子:春江の取り巻き。
ハートの三:春江たちが、自分たちのグループに名付けた名称。
クローヴァの三:春江たちが、和子たちのグループに勝手につけた名称。
蘭子:落ちぶれた清美の強い味方。ある時はカフェーの女給、ある時はバスの女車掌。
北園家:落ちぶれた清美が雇われることになった家。
美和子夫人:北園家の未亡人。
勝久:美和子の息子。一高生。敏子の兄とは友達関係。
篤(あつし)と豊(ゆたか):清美の弟。家が落ちぶれてから奉公に出されるが、蘭子に救われる。
緑小路子爵様:華族。美和子夫人の弟。勝久のおじ。

物語は仲良し三人組の和子、敏子、清美を中心に書かれるのだが、まず最初は和子の話から始まる。
小父さんと小母さんのもとでせんべい売りをさせられた少女(名前はまだ不明)はある日突然捨てられ、行き倒れ寸前になる。それを救ってくれたのが田村尚忠というやさしい老人。
老人は少女に名前を問うが・・・

「あの、私には名前つて別にないのですけれど・・・・・・・・・」
「小母さんはいつも、お前お前、と呼んで居ましたし、小父さんは泣き虫とかこの穀潰し奴(ごくつぶしめ)とかいふだけなんですもの」



などと答える。しかし、彼女が持っていたメタルから和子という名前が判明。以後、老人の姓を取って田村和子と名乗る。

その後の展開は急で、あっというまに小学校を卒業して女学校に入学する和子。敏子や清美ともいきなり友達になってる状態です。仲良しといっても、それぞれ、和子様とか敏子様とか様をいちいちつけるのがちょっと不自然な気もするが、当時のお嬢様としては普通なのだろうか?
3人は四つ葉のクローヴァーの誓いをする。それは、3人が見つけたクローヴァーを一年交代で保管するというもの。

その後、敏子が災難に襲われる。時々誰かにつけられてるようなのだ。ストーカーですね。実は、かつて敏子にギャフンといさされた不良少女の佐野春江が兄たち不良団に頼んで、敏子をおそわせようとしたらしい。このとき活躍したのが和子。敏子に変装した和子はわざと不良を交番の近くまで誘導して捕まえることに成功する。意外に行動力がある和子が楽しい。
話は前後するが、尚忠おじい様が自分ためにこっそり働いているのを知ったときも、和子は自分も働く決心をし、以前働いていたせんべい売りを再開するだけでなく、新聞配達も始めたりする。学校に通いながらこれらの仕事をこなすのは無茶じゃないかと思うが、ちゃんとやるところが凄いね。

その後、今度は清美が災難に襲われます。ここからはほとんど清美が主役。清美が次々と不幸におそわれます。
まずは、正直者の父親が悪人たちにだまされて罪人になるし、弟二人を親戚に預けたら、かってに奉公に出されるし、最後には病気の母とまだ赤ちゃんの妹に死なれてしまう。しかし、このとき清美の味方のなって登場した蘭子がいいキャラクターですね。清美の勤めるカフェーの同僚なのだが、なかなか気の強い性格で、たまたま客として来た佐野春江に清美がいやみを言われてるときも、清美を助けてくれた。かなり魅力的なキャラクターだが、その後清美が北園家の女中になってから出番がなくなって、ちょっとがっかり。
と思っていたら意外なところで再登場。製本屋に奉公してた清見の二人の弟が交通事故にあったときたまたま助けてくれたバスの女車掌が蘭子だったのだ!カフェーの女給から車掌って、ギャップありすぎ。この無茶な転職も蘭子らしくて楽しい。

最終的には清美が働いてる北園家の女主人が和子の母親と判明し、蘭子も四つ葉の誓いの一人に加わってハッピーエンドです。

最後のほう、主役の一人である敏子は父親の仕事のせいで朝鮮に行ってしまい、ほとんど出番がなかったのが残念。なんだか、一人だけのけ者にされてるようだ・・・。

基本的にはすごい偶然によって親子の再会があるわけだが、それを運命とか神様のおかげにして済ましてしまうところが、いかにも当時の少女小説だと思った。この作品の場合、清美がたまたま働いてる北園家が和子の家だったり、和子が新聞配達中に倒れたのが、たまたま北園家の夫人の生家である緑小路家の門の前だったり。
偶然の度合いが、すごければすごいほどカタルシスも大きくなるのかも。
ただ、蘭子と清美が一時お互いに消息不明になったときは、蘭子が清美の弟から、清美は必ず日曜は教会に行くはずという情報から、日曜のたびにいろいろな教会を回った末に会うことができた。やはり苦労人の蘭子は、だだ受身になってるわけではなく、その行動力で目的を達成するところがほかの人と違う。この作品中、もっとも魅力的なキャラクターだと思った。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ナカノ☆カナ

  • Author:ナカノ☆カナ
  • 関東在住のただのアニオタ(男)
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
カテゴリー
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。