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2009-11-17(Tue)

多田裕計「秘めた手帖」を読んで

昭和29年偕成社発行の少女小説。
巻末には「美しき校庭」という中篇も収録。

「秘めた手帖」
これは普通に面白かった。キャラもそれなりに立ってるし、ストーリーも一本筋の通った話で理解しやすいし。
まずは、登場人物の紹介

紀美子:本編の主人公。16才。母親は、紀美子が生まれてすぐに死んだと思い込まされてる。
伸一:紀美子の幼馴染。
紀美子の父:有名な画家。性格は少し厳しい。
沙紀江:紀美子の母。すでに死んだことになってる。
宮先生:紀美子の大好きな先生。若くで独身の女性。
中山先生:独身男性。宮先生とうわさが・・・
蓮光尼(れんこうに):謎の尼さん。

ストーリーは主人公・紀美子の母を恋しく思う気持ちが描かれ、実は生きていた母と再会して幸せをつかむまでです。
とにかく、紀美子のキャラがおもしろい。一見、おとなしそうな紀美子だが、突発的に大胆な行動をとる。そのギャップが印象的だ。前半では宮先生を好きなあまり、熱烈なラブレターを書いて、こっそり職員室に忍び込み先生の机の引き出しにそっと入れたりするし、尼さんが母かもしれないとわかったら、いてもたってもいられず、学校を勝手に休んで尼寺まで行くし。そのとき、電車賃が足らないのに途中までの切符で平気で電車に乗ってしまう。「なんというおそろしい罪だろう。」と思いながらも、そうせずにはいられない紀美子の行動力が楽しい。結局、途中で駅員に捕まってしまうのだが。
ラストは、尼さんが母と判明し、父とも和解して一緒に住むことになってハッピーエンド。
ところで、この小説のタイトルは「秘めた手帖」なのだが、作品中には手帖の「手」の字も出てこない。どうゆう意図でこんなタイトルになったのだろうか?

ちなみに、私の脳内では紀美子は最初あむちゃんだったが、そのうち自然に爽子(君に届け)に変わってしまった。そうなると自然に伸一は、風早君になってしまった。紀美子と伸一は最後までただの友達同士なのだが。

最後に、ストーリー上あまり重要ではないが、名も無き上級生たちの噂話(宮先生と中山先生のロマンス)をしているときの会話がいかにも当時の女学生っぽい会話なのでちょっと引用してみる。

「そうおーひいッだ!ロマンスねえ。」
「あら、たまらない。スウイートな話ね。」
「そうよ。それでね。中山先生の方から、人を使わして、結婚をお申し込みになったんだって。」
「心臓だわ、あの中山先生ったら。」
「それでどうしたの。」
「もう、ずいぶん前から、中山先生は、宮先生をお好きで召しましたらしいのね。」
「ああ、・・・・・・・・・!」
「ふざけないでよ。それで、いったい申し込みの話、どうなったのさ。」
「それがねえ・・・・・・」
「じらさないで、早く聞かせてってば。」
「それがさ・・・・・・むにゃむにゃなのよ。」
「むにゃむにゃってなにさ。」
「はっきりしないのよ。噂なんだから、・・・・・・」
「へえ。いずれにしても、宮先生みたいないい方を奥さんにする人は幸福だわ。」
「全く、センセーショナルな話題だわ。」
「よし。こんど、中山先生の前で、ペッと舌を出してやるわ。」
「わたしは、宮先生の手をにぎって、ぶらんぶらんして、先生、いいことあるんでしょう。っていってやるわ。」
「ひみつ!ひみつ!」
(後略)



ペッと舌を出すとか、ぶらんぶらんするとか、あまりにもほほえましくて笑ってしまう。

「美しき校庭」

これもキャラ設定が明確でわかりやすく楽しめた。

三原豊美:中学二年の女の子。「どちらかといえば、感傷的なさびしい性質」だそうだ。
梅崎五郎:豊美のクラスメート。成績が悪い腕白少年。足が速い。小動物と遊ぶのがすき。
八田君:頭が良くてスポーツ万能でクラス委員の完璧超人。女子から人気があるが、豊美だけは彼の性格の悪さに気づいている。
佐野友子:女子たちのリーダー格で八田を応援してる。

ストーリーはダメな梅崎五郎を豊美が叱咤激励して立派な少年にするという感じ。八田と梅崎は100メートル走の代表をかけて勝負するが、最終的には梅崎が代表に選ばれ、全国大会で優勝してしまう。そこまでするとできすぎって気もするけど。

ちなみに私の脳内では、豊美はりま(しゅごキャラ)、梅崎はナルト、八田はルルーシュ、友子はハルヒになってしまった。最後、八田と梅崎は和解するのだが、ルルーシュではどうしても何か裏がありそうで、ちょっと失敗したかも。

今回読んだ2作品とも感じたことだが、主人公の少女がやたら特定の男子と仲良くしてるシーンが多い。豊美と梅崎なんか、ときどき顔を赤くするシーンとかあるし。戦前の少女小説ではありえない描写だ。時代は変わったな。とはいっても、はっきり恋愛感情とわかる描写は一切無いのだが、作者の中では有る程度意識して書いてるのではないかと思った。同時に読者である少女も、いろいろ深読みしながら読んでたんじゃなかろうか?

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