奥付がないので発行日は不明だが、装丁の感じから昭和29年ころだと思われる。
不幸な身の上の混血少女マリー(父親がスイス人)が、声楽家として成功するまでの話。
歌のシーンの描写力はうまいけど、展開が速すぎて主人公に感情移入してる暇がない。
冒頭、父親の葬式で始まり、その後すぐ母親もなくなり、異父姉妹の姉・君子とも離れ離れになってしまう。その後も誘拐されたりいろいろあって、パリへ留学することになる。途中、おじが死んだせいで無一文になって苦労するが最後には立派な声楽家になって故郷に錦を飾る。
とにかくいろいろな要素を詰め込みすぎて、結局どれも薄い描写になって印象に残らなかった。